ロン・ミュエク「スタンディング・ウーマン」が青森県十和田市にある十和田市現代美術館に展示されています。巨大な4メートルもの初老の女性の立体造形作品です。ミュエクのリアリティを追及する制作姿勢について、そしてその皮膚の質感から生み出されるリアリティついて、テレビ東京「新美の巨人たち」様にて6月の放送にてお話しさせて頂きました。取材を親身になって頂きました映像制作会社のスタッフ様には、私のリスペクトするロン・ミュエク様について取材頂き大変恐縮ではありながらとても光栄でした。映像は私の一生の宝物となりました。ありがとうございました!
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スーパーリアリズム作家ロン・ミュエクは、人体があたかも生きているように表現しています。個人の物語を背景として取り扱う作品主題は、主に母や妊婦、新生児による人体です。命が生まれること生きることをテーマにしています。ここから生み出されるリアリティを表現するために特殊素材を用いて制作していると考えています。
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テレビなどのメディアに露出されないロン・ミュエク本人から「スタンディング・ウーマン」作品への思いについてメールでメッセージを寄せられたそうです。
「私たち人間はお互いを理解するようにできています。その人の立場に立って、その人がどんな物語を描いて、どのように人生を生き、今に至っているのか想像することに、深い興味を持っています。共感が最も重要なのです。」
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ミュエク作品の特徴として作品スケールの操作があげられます。実際のスケー ルを変えて表現することで鑑賞者に大きな感動をもたらし、単にマネキン製造の技術だけに陥いりません。巨大であったり小さかったするからこそ、鑑賞者は作品に引き込まれ共感を感じるだと思います。
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アートトラベラーを務められた俳優の小雪さんの言葉より〜
「体っていうのはただの物体だから使ってたら古くなる。その中にある魂とかその人の信念みたいなものって体に現れるから顔色とかそういう部分ですごく生命力を感じるよね、この作品から」
「本当にその何%も人ってわからないじゃない
だって自分のことだってわからないじゃないですか
そういう意味では他人の生き様かもしれないけど自分の生き様かもしれないしっていうのでこの作品は自分との対話をさせてもらえる彫刻だなって思います」
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「スタンディング・ウーマン」は特にモデルがいないそうです。
家族思いの心配性なおばあさんを想像したり、水仕事をたくさんしているのかもしれない、隣のおばさんかもしれない、すごく怖そうだけどお料理上手でおもてなしが上手なお母さんかもしれません。
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ロン・ミュエクは、巨大化させたり手のひらサイズにさせたり等のスケール操作をしてシンプルでありながらもこの操作によって一歩踏み込んだスーパーリアリズムを追求しています。そして、現実世界の方向感覚を失ったような非現実世界へと誘われます。しかし、 単に鑑賞者を圧倒させるだけではなくて、言葉にできない親密さと愛、切なさのような複雑な感情を観るものに湧き起こさせ、心の奥底に入ってゆくのです。
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