Piglicious 展

2018年10月2日(火)-11月3日(土) 
9:00-17:00  (最終日15:00まで) 日曜休館
入場無料
筑波大学大学会館アートスペース
http://www.art.tsukuba.ac.jp/

今回の「 Piglicious 」展では、” Pig ”と“ Delicious ”をかけた造語 ” Piglicious ” を展覧会名としました。「豚は美味しいんです。」という意味を込めたタイトル名です。

昨今では豚のペットの人気がインスタ映えとしてもとても効果があるように急上昇しています。食肉とされず愛でられ幸せに暮らす豚ちゃんがいる一方、生まれてから半年の間に太った豚の仲間がぎゅうぎゅうにいる檻に入れられ、ストレスいっぱいで90kgの体重増加をして気づいたら出荷場にいて、さばかれていく食肉用の豚さんがいます。食肉の豚が飼育され出荷されていくことを見てきた作者にとっては、まるでペットの豚ちゃんが夢の中にいる存在で、食肉の豚さんが現実の存在として感じられます。このような夢と現実をテーマとして作品としました。

アンリ・ルソーの「夢」という絵画作品が1910年に制作されました。この作品には、赤い寝椅子に横たわる女性ヤドヴィガ(架空の人物)が見ている熱帯の夢が描かれ、ルソー自身が見ている夢の絵です。



ヤドヴィガは気持ちのよい眠りの中に
静かに眠り込み
考え深げな蛇使いが奏でる
ミュゼットの音を聞いていた
その間 月は映していた
花々や、緑かがった木々の上に
笛の陽気な調べに
耳を傾ける茶色の蛇たち

この夢の中に誘われるような詩は、ルソーが第26回アンデパンダン展出品時に作品に添えた銘文です。この作品を制作された年、ルソーは永眠されました。夢の中にいるような永遠という「生」を表現しているように見えますが、ルソーは自身の「死」という現実をこの作品に表現しているように作者は感じました。
作者自身、実母が4ヶ月前に68歳で心臓病のため少し早すぎる死を迎えました。
現代医療が発達して日本人女性の平均年齢が80歳となり、母もまだ10年以上は生きると当たり前に思っていただけにこの死を現実として受け止めるにはまだ時間が掛かりそうです。お正月に帰省したら母が煮込み料理をして待っていて、玄関先まで来て「おかえり」って言うように今の現実が現実でないような、まるで夢の中にいるようです。
夢/生と現実/死を表現したルソーの「夢」をオマージュし、今回の作品「 Piglicious 」を制作しました。

花々や木々、月の光の中に戯れ愛でられる豚ちゃんをメインに配置し、食肉のために屠殺されていった豚の魂として、大きめの豚の頭部と黒めの豚、天に昇っていく豚を配置しました。 そして、赤いソファにはご高覧頂いている方に横たわって頂き、ヤドヴィガに扮して頂きます。鑑賞者が作品の一部となると作品が成立します。鑑賞者がお肉を食される消費者という設定(ベジタリアンの方などいらっしゃいますのであくまで作品の想定です)、愛でられる豚ちゃんをじっと見つめ、現実の存在が夢の存在を見つめます。

どうぞ楽しく作品をご観覧ください。
この展示にあたり、ご協力頂きましたみなさまに心より感謝申し上げます!

2018年10月吉日
小野養豚ん

撮影 : 武石早代
モデル : 永濱佑子
設営協力:阿片陽介、斎藤太一   

主催:筑波大学芸術系

参照:ルソー,アンリ(2015)「アンリ・ルソー【自作を語る画文集】楽園の夢」(藤田尊潮訳)(株)八坂書房 P105 より
an educational 501(c)(3) non-profit organization founded in 2009 to demystify Modern Art and further art appreciation (2009) 「THE ART STORY」The Dream (1910) Henri Rousseau , [online] https://www.theartstory.org/artist-rousseau-henri.htm(参照2018-9-27)