このバカちんが!!!

恩師.

「このバカちんが!!!」

博多弁で「このバカ者が!!!」という意味で九州出身の男の方が使う言葉です.
2018年を待たずに昨年末, ご高齢で他界された私の恩師. 美術大学時代,  第1志望の大学に入れずに1年生の時はずっとムッとして誰とも話そうとせず, 友達を作ろうとせずに黙々と制作に打ち込んでいました. そんな中,  先生の集中授業を受けていた時に授業が終わっても黙々と課題制作をしたら,

「おー,なんだお前は, 友達おらんのかぁ???」

って, 声を掛けてくれました. それから, 20数年, 仕事で遠くに離れても年賀状を送ったり, 展覧会の案内状を出したり, 先生の展覧会へ私の展覧会へとお互いに足を運びました.
いつも気にかけてくれるのは作品が良い悪いと言うよりは私のこと. お子様がいらっしゃらなかった先生はどこか子供でも見るように.

「なんだ, またお前, 太ったなぁ? 豚ばっかり作ってるからだ!」
「仕事は順調か???」
「人生のパートナーは見つかったのかぁ??」

そしていつも言っていた,

「このバカちんが!!!」

愛情込めたこの言葉には, てへへっと苦笑い. 大体, 作業している時に間違ったやり方をしていると遠くからでもこの言葉が飛んできたり, 先生より物覚えが悪い私がトンチンカンなことを言うと飛んできました.

先生の最後のお別れはお通夜に参加させて頂きました. 棺の周りには, 先生が制作した作品がとても生き生きとエネルギッシュに展示され, 金が施された作品はキラキラと輝いていました.
先生のことを思い出すと「このバカちんが!」ってニコニコしながら叫んでる先生の声と顔が鮮明に蘇ります.
ずーっと気にかけてくれてありがとうございました. 安らかにとは言いません. まだまだ天国で, このバカちんが, ってアドバイスをくださいね.